第二次大本事件

  • 『霊界物語』の筆記者だった信者によれば、第二次大本事件直前に側近達を集め『霊界物語』全巻セットを各人に配り、熟読するよう告げた[332]

 

  • 1928年(昭和3年)3月3日、満56歳7ヶ月の王仁三郎は綾部で「みろく大祭」を挙行、自身が弥勒菩薩救世主であると宣言した[333]。儀式の最中、王仁三郎は林檎3個を取り、妻子や幹部達に大根や頭薯を与える[334]。当局はこの儀式を「国体の変革を目的とした結社を組織し、政権を奪取せんとした陰謀」として治安維持法違反の根拠とした[335]。実際には、検察の論告はこじつけや滑稽話に近かった[336]。王仁三郎は事件後の回顧歌で「大根は何程食ふもあたらねど その反対に人を殺せり」「恐ろしき闇世なるかな大根が 生命を奪るとは前代未聞よ」と詠っている[337]

 

  • 事件直前の12月6日、二・二六事件の首謀者・北一輝は王仁三郎に会ってクーデターの資金提供を求めた[338]。王仁三郎に一蹴された北は暗殺を示唆したが、12月8日に王仁三郎が松江で逮捕されて空振りに終わった[338]。後に王仁三郎は「警察に保護されたも同然。北一輝らはさぞ地団太踏んでいただろう」と語っている[339]。北と共に処刑された西田税の自伝にも大本を研究したことが記されており、資金提供を頼んだのは西田という見解もある[340]

 

  • 北一輝は大正8-9年頃に王仁三郎と会見していた[341]。二・二六事件で逮捕された北は当局に対し「変な姿。自分の信仰(独自解釈した法華経)に因る神秘的体験から観ると、大本教は神ではなく相当な邪霊で皇室を滅ぼそうとしている」「断じて大本教と接触しないよう指導した」と王仁三郎について語る[342]。伝記『北一輝-日本的ファシストの象徴』によれば、王仁三郎は自ら希望して北と会見し「ガタガタと震えて北に圧服された」と描写するが、実際は北の方が王仁三郎に手紙を出しており、伝記は北の側のリップサービスである[343]松本健一は、王仁三郎と北が天皇制国家の内で「天皇=革命」の原理を打ち出して「神の国(もう一つの天皇制国家)」を創造しようとした点で『似たもの同士』と論じた[344]。天皇制国家(大日本帝国)が大本を忌み嫌ったのも当然であったとされる[345]
  • 王仁三郎と北の会見に同席した大川周明は「出口は下劣で取るに足らぬ奴」と評したが、東京裁判中の1948年(昭和23年)1月21日の日記に「出口王仁三郎死亡」と記述した[346]
  • 第二次大本事件当日、「出口はどこだ」と押し入ってきた警官に対して、信者が「出口はこっちです」と部屋の『出口』に誘導した[347][348]。当局側は大本の武装蜂起を信じており、水杯を交わしての決死の突入であった[349]
  • 木戸幸一の日記によれば、1935年12月13日(第二次大本事件、王仁三郎の逮捕から5日後)に唐沢俊樹警保局長が木戸に事件を報告した[350]。この後木戸は参内して昭和天皇と食事をしたが、天皇の王仁三郎に対する評価は不明である[350]。敗戦後、王仁三郎は「天皇陛下もどうもならんなあ(略)大本をあんなにしたのだから仕方がない。責任は矢張り大将にあるから」と天皇の責任を指摘した[351]。一方で瀬戸内寂聴昭和神聖会が弾圧されず愛国運動が発展した場合、王仁三郎は「聖戦」に協力し戦犯になっていた可能性を指摘している[351]
  • 第二次大本事件裁判の第一審判決で無期懲役が言い渡された際、王仁三郎は傍聴席を向いて舌を出し関係者を驚かせている[352]。また裁判中にすみが神懸かり状態となって激昂した際には、「これこれ」と言って妻を宥めた[353]
  • 山本英輔海軍大将は保釈され亀岡に戻った王仁三郎に水野満年を通じて戦局打開の方策を尋ねた[354]。他の軍人達の質問にも基本的に良い返事をしなかったが、サイパンの戦い天王山になる事は伝えている[355]。戦局が絶望的になると多くの人々が王仁三郎を慕って亀岡を訪問した[356]

 

  • 敗戦後、林逸郎弁護士が大本事件における賠償請求を検討していたところ、「今度の事件は神さまの摂理」として賠償請求の権利を放棄した[357]。そして「大きな御用のために東京に帰りなさい」と告げる[358]。林を待っていたのは東京裁判の弁護人という仕事であった[359]

 

  • 綾部の教団敷地に脚を踏み入れた際、の木を全部切るよう強く命じた[360]

 

  • ダグラス・マッカーサーGHQ最高司令官について玉音放送直後に「マッカーサれた(負かされた)」と駄洒落にし、「マッカーサーはへそだ。朕の上にある」と冗談にしつつ業績を評価していた[361]。さらに『霊界物語』第58巻第1章に登場するニコラス大尉は「日本を懲らす…でマッカーサーの事」と語っている[361]