塩田剛三の教え

 合気道の達人として名高い塩田剛三先生が、直接指導

 されていた研修会のDVD「塩田剛三 直伝(株)ク

 エスト」に塩田先生の非常に貴重な教えが紹介されて

 います。


 合気道を追求する人には必見ですが、合気道がよくわ

 からない人でも、合気道の稽古法の意味が、なんとな

 くでも理解出来るのではないでしょうか?



塩田剛三 直伝 vol.1

通常稽古をしている基本技は、ただ型のみを身につけるのではなく、実際に効果のある技をつくり上げていかなければならない

 

しかも、その技は腕力に頼った、力の技ではなく、自己の中心力が活かせた技でなくてはならない。


相手が痛みを感じて倒れたり、抑えられたりする技は邪道であり、本来の合気道の姿からはずれてしまう。

 

大きい者は大きいなりに、小さい者は小さいなりに、効果のある技が施せてこそ、本当の武術といえるのである。

 

研修会の目的は、本当に効果のある技を身につける為、部分部分の力の作用を研究し、鍛錬を重ね、そのひとつの作用が身につくことによって、点が線になるように技を完成していくことにある。

 

研修会の稽古の方法として、相手の力が静止した状態で相手を抑えることが出来れば、どのような状態においても、技が施せるようになるという理念のもとに行っているのである

 

真の武術としての合気道を体得するには、ひとつひとつの動作を
確実に身につけていくことが大切である。

 

 

塩田剛三 直伝 vol.2

合気道は武術である為、形態の大小や、力の強弱に関係なく技が施せなくてはならない。それには、まず、自己を知ることが大切である


基本に忠実に練磨を重ね、自己の体勢を作り上げると同時に、それに合った心も身につけ、心技一体となるよう修行を積んでこそ、初めて自己を知ることができるのである

 

研修会の稽古は、静止した状態で行っているが、それが自由技のように動の状態であっても技を思うように施す為には、心の動揺があってはならない。

 

自己を知り、心技一体になってこそ、実際の場合でも自由に技が施せるのである。
1989年2月16日 研修会にて

 

     

塩田剛三 直伝 vol.3

合気道の技の究極は”美”である。

 

自己の邪心を捨て、相手と一体となってこそ品格のある合気道が完成してゆく。

 

基本から逸脱した我流は邪心が出て、争いのみの技となってしまう。


修行者としての心構えを忘れず、常に謙虚な気持ちを持って事に当たり、そして部分の力ではなく、体全体から出る力を養成して、はじめて本来の合気道の技が身についてくるのである

 

     

塩田剛三 直伝 vol.4

合気道の技法を習得する上で、安定した腰を作り上げることは重要なひとつの要素である

 

それは修行の年数によって強化されていかなければならないことであり、それが、力の流れを知るために必要な中心線を身に付けることにつながる

 

そして、やがて他の要素と合わさって心・技。体の一致した力、即ち呼吸力が完成されていくのである。

 

人はそれぞれ容姿が異なるように、各自に備わっている力も異なる。そのそれぞれ自分に備わっ力を常に100%出せるように自己を研究し、相手に対する力の流れを見極めることが大切である。

 

そして、常に平常心を持って相手と相対するよう心がければ、自然と相手の力の流れを知り、相手を、自分へと導くことができるのである。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.5

合気道の技を施すうえで、相手を力でねじ伏せようとする気持ちが生じると、平常心を失い、邪心が生まれてしまう。「対すれば相和す」。


常に謙虚な気持ちをもって相手と和することができるような技が施せれば、そこに合気道の最高の技、「美」が現われるのである。

 

研修会で行っている部分部分の力の作用の稽古は、自己の真の姿を見出すものである。慢心な気持ちは自己の技の向上を止めてしまうとともに邪心を生む

 

「師は弟子であり、弟子は師である」という気持ちを持っていればこそ、そこに真の謙虚さが生まれてくるのである。「合気即生活」こそが合気道を修行するうえでの大切な心構えである。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.6

合気道の基本の構えはひとつの線に乗ることである。その線こそが自己の中心線となり、呼吸力を生む。

 

修練を積んだ者は自己の体質にあった構えの姿を見いだしていかなければならない。その姿を見つけることがひとつの大きな修行となり、自己の見えざる欠点を知ることにもつながるのである。

 

故に最初の基本の構えを十分に修練し確実に身に付けなければならない

 

「基本にはじまり基本に終わる」。基本の姿さえ確実に身に付ければ技の向上は止まることはなく、たとえ行き詰まったとしても再び原点に戻ることができるのである。

 

基本から逸脱した技は合気道から外れてしまい、慢心を生む原因となる。日々の稽古は同じことの繰り返しではあるが、弛まず確実にそれを積み重ねることこそが上達への近道である。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.7

合気道の技は、相手の力が静止した状態できまらなければ、実際に動きの中で技をかけることは困難である

 

制止した状態で技をかける際に、相手の力の強い部分を攻めるのではなく、弱い部分を見つけなければ技はかからない。


その部分を見つけるためには自己の心を平常に保ち無心になることである。勝負を超越した心を持ってはじめてどのような状況におかれても技が施せるのである。

 

そのためには日々新たな気持ち、心の転換を行って稽古に取り組むように、常に気持ちの整理をしなければならない。

 

心の転換こそが相手に隙を与えずに技を施すことができる大切な要素である。

 

考えてから技を施すのではなく、考えると同時に技が施せるように、基本に沿った、心のこもった技を常に修練することが大切である。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.8

相手の攻撃手段は多種あるが、基本的には手か足によるものが主である。

 

足による攻撃はほとんどが片足によるものであり、攻撃する際に一瞬でも他方の足で起立している瞬間を攻めればその攻撃を封じることは可能である。

 

それに比べて、手による攻撃はあらゆる変化を可能にし、その攻撃を防ぎあるいは封じることは技術的にも難しい。

 

そこであえて研修会では、相手に両手で各部分を掴ませ、その相手の力にたいこうすることなく相手の体勢を崩し、抑える稽古も行っている

 

両手で各部分を掴まれると、片手で掴まれる以上にその力に圧倒され、その力に対抗しようとしてしまう。

 

相手の力をまともに受けてしまうのではなく、相手自身両手を自ら封じてしまっているという逆の発想をもって相手の弱い部分を攻めれば、片手による場合よりも容易に相手を抑えられるのである。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.9

合気道の稽古では、構えた場合の相手との「間合い」を、通常”一間”と定め、そこから各技法の練習を行うが、この「間合い」こそが攻守に適した、最も大切な相手との距離であり、気持ちの上でも相手より優位に立つ条件として必要な間でもある


基本的な間合いの感覚がわかるようになると、多人数を相手にした場合や、武器をもった相手と対した場合にその間合いを計ることも可能となってくる。

 

また、合気道の技法は防御的な技ゆえに気持ちでは常に相手より優位でなければならず、気持ちまで受身になってしまえば自己の体勢も中心線も崩れてしまい、有効な技を施すことができない。

 

常にその場に適した間合いを取ることが、気持ちの上で相手の優位に立つことにもつながるのである。

 

     

塩田剛三 直伝 vol.10

合気道の技法を施すうえで、「タイミング」を計ることは重要でありかつ難しい要素の一つである。

 

タイミングとは、瞬時に相手の動作を察知し、待つでもなく、先を行くでもない、相手の出る動き、引く動作に自己を合わせることであり、それがうまく行くとより有効な技を施すことができるのである

 

通常合気道の技を施す時には、まず当て身等で相手の気を外し、円運動で力の線を外して体のバランスを崩して技をかけることが必須条件である

 

しかし瞬時に相手を制する当て身技等を施す場合は、より高度な技術と精神力、そして、同時に絶妙なタイミングが要求されるのである。

 

タイミングこそが相手の力を最大限に利用し、相手を自己に優位な方向へ導くための鍵である。