言霊

万葉集の中で、日本は「言霊の幸う国」と歌われている。つまり”言霊の霊妙な動きによって幸福をもたらす国”という意味である。

 

 

 

盛平があるとき、ミロク殿の西門までくると、作業中の一人が、

 

「植芝さん、ちょうどよいところへきてくれました。あなたのところへ今使いを出そうと思っていたところです。この石をもちあげてくれませんか」

 

というのであった。

 

見ると千貫もありそうな大石である。それが低地にめりこんでいる。

 

「これはダメですよ、いくら力があってもムリですよ」

 

と盛平が答えているところへ王仁三郎がでてきて、

 

「植芝さん、これは言霊で力をだして動かさねばあきまへん」

 

といった。

 

「コトタマって何ですか」と聞くと、

 

「この石を動かすには、ウの言霊やな、真気を集めて、ウの言魂を発して浮かせるんや」といって、言魂の説明をした。

 

盛平は、「やってみましょう」ともろ肌ぬいで巨石に両手をあて、渾身の力をふりしぼり、「ウ・・・」の言霊を発すると、不思議や、巨石はむくむくと動いて、ほんの少し移動した。

 

どんな強力でも、とても動かせまいと思われた巨石は言魂で動いたのである。

 

自分の力量を知っている彼は、全く驚くべき奇跡を体験したのである。

 

合気道開祖植芝盛平伝 「武の真人」 砂泊兼基著

たま出版 74項